スターフィッシュ‼︎


「はぁはぁ、いきなりごめんね。王子ファン怒らせたら怖そうだし」


息切れを止めながら、あたしはカナタちゃんに謝る。


「せっかく貴也様に近づくことができたのに……邪魔すんじゃねーよ……」


ぱっつんの前髪が影となって目を隠しているため、その表情は見えない。

だけど、その声は怒りを帯びていたように思えた。


「……カナタちゃん?」


そのまま無言で、カナタちゃんはこの場を去っていった。


自動販売機のブーン、という音が廊下に響く中、

呆然とその場に立ち尽くすあたし。


え……、あたし悪いことしちゃったのかな……。


カナタちゃんの恋の応援するって約束したのに、どうしよう!


どくん、どっくん、と妙なリズムで心臓が鳴っていた。


< 318 / 434 >

この作品をシェア

pagetop