スターフィッシュ‼︎
「はぁはぁ、いきなりごめんね。王子ファン怒らせたら怖そうだし」
息切れを止めながら、あたしはカナタちゃんに謝る。
「せっかく貴也様に近づくことができたのに……邪魔すんじゃねーよ……」
ぱっつんの前髪が影となって目を隠しているため、その表情は見えない。
だけど、その声は怒りを帯びていたように思えた。
「……カナタちゃん?」
そのまま無言で、カナタちゃんはこの場を去っていった。
自動販売機のブーン、という音が廊下に響く中、
呆然とその場に立ち尽くすあたし。
え……、あたし悪いことしちゃったのかな……。
カナタちゃんの恋の応援するって約束したのに、どうしよう!
どくん、どっくん、と妙なリズムで心臓が鳴っていた。