スターフィッシュ‼︎


曲が終わり、ギターのチューニングを直していると、


「おい、チビデブ! ……ん、お前ちょっと痩せたか?」


王子がマイク越しにあたしに話しかけてきた。


「ん? え……そう?」


「じゃなくて、歌詞。調子はどうだ?」


「うーん。上手く書けなくて……。でも本番までには絶対完璧にするから!」



カナタちゃんとの一件があってから、

恋だの愛だのそういうことが考えられなくなってしまい、歌詞制作はストップしていた。


曲自体は構成も決まって、だんだんできあがってきてるのに。



「そーいえば。皆に話しておくことあるわ」


スタジオ後、ミーティングスペースにて、

ゆーたが珍しく思い詰めたような口調で話し始めた。


「俺、高校卒業したら一旦就職するわ」

「え?」


あたしは初めて知ったかのように装った。

王子と良夫さんも真剣にゆーたを見ている。
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