スターフィッシュ‼︎
「お前、無理してないか? 体力使いすぎるなよ」
4組目のライブが終わって、転換中。
王子があたしの耳元でそう言った。
「え? だーいじょうぶ! 超絶好調だよーー!」
対バンさんの楽しいライブによって、あたしのテンションは上がっていた。
でも、心の奥底では、何か不安のようなものがずっと渦を巻いていた。
「…………」
王子は真剣な目であたしを見つめている。
フロアの明りは抑えめになっているため、ふわっとした髪が顔に影を作っている。
そこから見える王子の瞳は、あたしを捕えて離してくれなかった。
実は、あれから毎日、1人になると思いだしてしまっていた。
先週の理科室前トイレでの出来事――カナタちゃんとのことを。
もちろん、あれからカナタちゃんからは何の連絡もないし、今日はここにも来ないだろう。
「王子……」
「あ、貴也様~遊びに来ました! 今日も頑張ってくださいね~」
「おおお、来てくれてありがとう。楽しみにしててね!」
あたしが話しかけた瞬間、ちょうど貴ベイビーたちが会場に着いたらしく、
王子はその女子たちの方向に行ってしまった。
だめだだめだ!
今日はあたしたちがトリなんだし、一番良いライブをするんだ!