スターフィッシュ‼︎


「よいしょ、でーきた」

「わーー! ありがとうございます。おだんごだ~」


鏡に写っていたのは、頭の上に金のお団子を乗せたあたしと、

ニコニコとそれを眺める雪乃さんの姿。


「あわわ、ちょっとくずれちゃいました」


椅子から立ち上がると、その振動でお団子から髪の束が1つ頬に落ちた。


「うん、ちょっと緩めにセットしてみたんだ」


「おー、そうなんですね?」


「……美緒ちゃん。貴也くんからちょっと聞いたんだけど、辛い事があったんだよね」


「……はい」


「今日は、ライブ終わった後、お団子がくずれて髪型が元通りになるくらいに暴れてくるんだよ!

あたし、美緒ちゃんのいつでも全力なところが大好きだから!」


まん丸のほっぺたを上向きにしながら、笑顔で雪乃さんはそう言った。


「はいっ。ありがとうございます!」


鏡に映るあたしの顔にも自然な笑顔が浮かんだような気がした。



それからフロアに戻って、直前のバンドのライブを見た後、4人が楽屋に集まる。


「本戦前ラスト。最高のライブするぞ!」


「「「おー!」」」


あたしたちは中心で拳をぶつけ合い、ステージに向かった。

< 360 / 434 >

この作品をシェア

pagetop