スターフィッシュ‼︎
「よいしょ、でーきた」
「わーー! ありがとうございます。おだんごだ~」
鏡に写っていたのは、頭の上に金のお団子を乗せたあたしと、
ニコニコとそれを眺める雪乃さんの姿。
「あわわ、ちょっとくずれちゃいました」
椅子から立ち上がると、その振動でお団子から髪の束が1つ頬に落ちた。
「うん、ちょっと緩めにセットしてみたんだ」
「おー、そうなんですね?」
「……美緒ちゃん。貴也くんからちょっと聞いたんだけど、辛い事があったんだよね」
「……はい」
「今日は、ライブ終わった後、お団子がくずれて髪型が元通りになるくらいに暴れてくるんだよ!
あたし、美緒ちゃんのいつでも全力なところが大好きだから!」
まん丸のほっぺたを上向きにしながら、笑顔で雪乃さんはそう言った。
「はいっ。ありがとうございます!」
鏡に映るあたしの顔にも自然な笑顔が浮かんだような気がした。
それからフロアに戻って、直前のバンドのライブを見た後、4人が楽屋に集まる。
「本戦前ラスト。最高のライブするぞ!」
「「「おー!」」」
あたしたちは中心で拳をぶつけ合い、ステージに向かった。