スターフィッシュ‼︎


楽屋に戻っても、お客さんたちからの拍手は鳴り止まないようだ。

皆、一定のリズムで、パン、パンと音を合わせている。


これは、アンコールを求める合図。



「……うっ、うわあああ! 何で? 何でぇー!?」


楽屋では本当に涙が止まらなくなってしまい、雪乃さんが優しくあたしの頭を撫でてくれていた。


「これ……アンコールは無理だべ」

「でもどうしましょう。皆全然帰る気配ないですね……」


あたしの後ろで3人が会議をしていた。


「ひっく、ごめんっ! 声が……っ、急に出なく……なって」


「おーい落ち着け。お客さんにはたぶんバレてねーから」


ゆーたがパニック状態のあたしをなだめている間に、


「俺行ってくるわ」


と言って、王子は1人でステージに戻って行った。


貴ベイビーたちの歓声を中心に、声援がフロア中に広がっていく。

楽屋の扉越しに、その様子がはっきりと分かった。
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