スターフィッシュ‼︎
気がつくと、飲食エリアには人がほとんどいなくなっていた。
あたしたちと同様に、みんなステージ近くへ足を進めている。
前方のエリアはぎゅうぎゅうに人が詰め込まれているようだ。
司会のDJさんがそのバンドの紹介をすると、
ステージは地鳴りのような声援と拍手に包まれた。
「…………」
うわぁ、すごい!
あたしは口をあんぐりと開けたまま、さっきまで楽屋でキャピキャピしていた女の子たちのライブに釘づけになっていた。
それまでのバンドとは違い、音が大きな1つの塊となり、ド直球に体に突き刺さってくる感じ。
山吹色の夢は、ベースボーカルとギターとドラムの3人編成。
ボーカルはブンブンとベースを振り、踊り狂いながら、声量のある可愛い声をお客さんに向かって響かせる。
時々、可愛い声のまま激しく叫んだかと思えば、すぐさまキャッチーなメロディを滑り込ませてくる。
ギターも華奢な腕でテレキャスター(ギター)をかき鳴らし、耳をつんざくような歪みの爆音を空中にぶちまけていき、
ドラムもお客さんを踊らせるように、手数が多い変則的なリズムをノリノリで叩いていく。