スターフィッシュ‼︎
青春スターダム 前編
ステージに上がると、
まるで映像のような――この前見たDVDの中のような世界にあたしたちは包まれていた。
貴也様~! と叫ぶ貴ベイビー軍団が最前列を陣取っていて、
その後ろに、オイ、オイ、オイ! と一定の間隔で拍手と声を送ってくれる、いつものお客さんたちがいた。
そして、その奥は、見渡す限りのお客さんたち。
たくさんの頭と拳が、まるで波のようにあたり一面に広がっている。
あたしはギターを肩から下げながら、ぼーっとその様子を眺めていた。
まだ演奏は始まっていないのに、歓声と拍手が鳴りやまない。
初めてあたしたちを見る人も多いだろう。
でも、みんな今から始まるSTARFISHのライブを楽しみにしているんだ。
「おお、これは気合い入るな」
「うおーー! まじスゲー! あがるー!」
「さあ、や、やりましょう!」
3人の声が後ろから聞こえる。
あたしは目をつぶり、今、目の前に広がるこの夢のような景色をまぶたの裏に焼きつけた。
これは決勝だけど、終わりじゃない。
あたしたちがスターになるための――バンドマンとして生きていくための大きな一歩なんだ。