スターフィッシュ‼︎


空はオレンジ色から濃い青色をにじませ、

今日の光はゆっくりと明日に向かって姿を隠していく。


頭上の光は、静かな音の空間に、

青白く幻想的な雰囲気を持って、あたしを照らし出す。


もうすぐサビが始まる。

良夫さんの微かなシンバルの音が、星のような瞬きを表現して、


そして、サビへ――



『どんなに手を伸ばしたって、触れることはできない。

君は夜空を泳ぐ星のよう』



4人の音が1つになり、この『STARFISH』という曲――この恋の物語を加速させる。


『だけど追いかけることで、

僕は上手く息ができるようになるんだ』



STARFISHの美緒として、歌うことはもちろん楽しい。

4人でバンドをすることは、あたしの人生そのものだから。


でも、初ライブも、レコーディング合宿も、文化祭も、青春スターダムも、

ずっと王子が隣にいることで、もっとドキドキが倍増して、楽しくなって。


そして、あたしが歌うことで、王子もまた自分の夢に近づくことができる。


そう信じてここまでやってきた。



王子に出会ってからの1年間。

自分自身でも気がつかなかった、ずっと心の奥に閉じ込めてきた思い。


目の前には今、たくさんのお客さんがいる。


だけど、今だけは止めることができない。
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