スターフィッシュ‼︎
「よし、やるぞ! お前も早くマイクミキサーにつなげ」
ワインレッドっぽい色のベースを
ストラップ長め――低めの位置で鳴らす王子がいた。
ピックを使わず、指弾き。
その指がベースの弦を弾いたり、叩いたりすると、
体の底が震えるような低音が奏でられる。
『俺様のベース姿が格好いいからって、ぜってー俺様に惚れるなよ!』
こりゃ、無理だ。
か、格好すぎるーー!!
惚れないように、惚れないように、
と思いながら、あたしはミキサーと呼ばれる機械にあるマイクの差し込み口に、
スタジオ説明書のメモ書き通りにマイクをセッティングした。
すると、バンッ、バンというバスドラムの音を合図に、
良夫さんのドラムの音が一定のリズムを刻みだす。