2人のアタシ。
―キーンコーン
カーンコーン…
そこでチャイムが鳴る。
どうしよ。
このままアンナでいてもいいかな?
ていうか、このままアンナでいたい!
こんな楽しそうなチャンス滅多にないからね!
「………莉子?」
私が先生の机を物色していると、後ろから男の声がした。
リコ、か。
私はリコの振りをしなきゃいけないんだもんね。
黙って振り向くと、そこには爽やかな少年が立っていた。
机に向かって前屈みになってる私を怪訝そうに見ている。
「…誰?」
思わず声に出してしまった。
失礼だったかな。
「誰って、直樹だろ。やっぱりまだ寝てた方が…」
「あぁ、直樹!ごめん」
思い出した。
リコには、彼氏がいるんだった。