ババヌキ
そんな冬が始まったばかりの時期に、4人で待ち合わせて、みんなが揃った。4人でご飯を食べに行き、その後、4人で彼の家に行く事になった。彼の家は坂の上にあって、歩いていくのは、まぁ大変だった。この坂を何度も、何度も登ることになるなんて、全然、思わなかった。彼の部屋は離れにあって、たまり場としては絶好の条件だった。4人で尽きることなく喋った。何時間も。その内に帰るタイミングが掴めなくて、彼が3人に向けて「家に泊まっていく?」と、問いかけた。3人の答えは決まっていた。今、思えば彼の迷惑をかえりみることなく、ただ、その時間が楽しくて仕方なかったから。そんな時、誰からともなく、喉が乾いたね…。と、言った。そういえば、喉がカラカラだったと気付かされた。すごく夢中だったことにも気付いた。みんなも同じ状態だった。コンビニで何かを買ってこようってことになった。直さんが突然、思い付いたように目についたトランプを手にし、提案した。「トランプで負けた奴、2人で買いに行かない?」と。名案だと思った。ただ買いにいくよりは数倍面白そうに思えた。「何で勝負する?」簡単に勝負がつくということで「ババヌキでいいんじゃない?」ということでババヌキになった。ババヌキが始まった。あたしは、寒さからか、なるべく行きたくなかった。あたしは真剣だった。もちろん、みんなも同じ気持ちだと思った。その為か、今まで1度もなかった静寂がおとずれていた。やっぱりみんなも真剣だった。とても長く感じた静寂も、たかだか5分程度で、ババヌキの決着はついてしまっていた。まず始めに、彼が上がり、次に真剣なかいあってか、あたしも上がることができた。「やりぃっ!」負けたのは、真奈と直さんだった。彼は「やっぱり言いだしっぺはまけるね~。」といった。あたしも「本当だ。」と、みんなも笑った。ほどなくして、直さんが「じゃあしょうがないでいってきてやるかっ!」と、みんなの笑いを誘って、真奈と2人で出掛けていった。残った彼とあたしは、椅子に座りお喋りの続きを始めた。