鋼鉄の国のアリス
足をそちらへ向ける。


「大丈夫?」


屈みこんで尋ねる少女の顔は逆光になってよく見えなかった。

白いうさ耳も。

だから少年はアリスを人間だと思った。

故に拒絶する。
こないで、とつぶやく。

しかしそれは聞き入れられず、ゆっくりと彼女は近づいてくる。


「私、あなたと同じ刺青の人を知ってるの。だから、その人の所に連れて行く」


淡々と告げる声は抑揚を欠いていて。

まるで、人形みたいだと彼は思った。
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