だからこそ、キミは。
梨花がわざわざ聞いてきたのは、目の前に爽くんが居たから。
爽くんを目の前にして私を追い払うことはできないし、何より爽くんが私を誘うのを防ぎたかったんだと思う。
私が私自身の口で“食べない”と言えば、梨花は自分の手を汚さずに済むから。
爽くんだって、何も口出しできないから。
…梨花は、変なところで頭が良い。
「…俺は、みんなで食べたら楽しいと思うけど。」
微妙な空気を察した爽くんからの、些細な気遣い。
だけどそれは無に等しく、私には意味がないもの。