だからこそ、キミは。
俯き加減で小走りしながら、教室の外へと急いだ。
そんな私の姿は、まるでイジメを受けて逃げ出す悲劇のヒロインみたいで、とっても滑稽。
『……。』
違うん、だよ。
梨花が悪いとか、お弁当を食べる場所がないとか、そんなんじゃなくて。
やっぱり愛想笑いしかできなかった、自分が一番滑稽。
「…美優……っ!」
教室から、爽くんの呼ぶ声が聞こえる。
優しい爽くんのことだから、私の態度を見て心配してくれてるんだろうけど、私が振り向くことはない。
私は横目も振らずに、廊下へと跳び入った。