だからこそ、キミは。
「あっ、そんな嫌な意味じゃなくて…っ!」
私の顔色で全てを読み取った爽くんは、手をブンブンと振り、慌てて弁解の言葉を述べる。
だけどそんな言葉、私の耳には入らない。
言い訳なんて、いらない。
自分の気持ちの整理をするだけで、精一杯だった。
―…だから。
この時爽くんが、どんな気持ちでいたのかなんて、全く知らなかったんだ。
「…美優、俺さ。」
私が爽くんの言葉を聞き入れてないことを知っていての、爽くんの態度。
爽くんは改まったように、真っ直ぐと私に向き直す。
どうして爽くんは、相手の目をしっかりと見れるんだろうか。