だからこそ、キミは。
「……。」
先生が突拍子に面を食らったような顔をして。
予想外の時に髪を掻くのは、きっと先生の癖。
落ち着かないように髪に触れた先生の指には、指輪が光ってる。
「…お前は、強いよ。」
そして、かすれたように一つだけ、呟く。
…大丈夫。私は、その言葉だけでも頑張れる気がするから。
『……。』
沈黙が流れていたら、授業開始5分前を告げるチャイムが鳴った。
沈黙には、丁度いいぐらいの軽快な音。