だからこそ、キミは。

美しい涙




早くしなければ、授業に遅れてしまう。

そんな気持ちだけで簡単に選んでしまった、近道である体育館裏。



そもそも近道をしようとしたことでさえ、間違えだったのかもしれない。



『……っ』



鉢合わせて、しまった。



私なんか見えていないぐらい、相手の顔を真剣に見てる爽くんと、

同じく泣きそうなぐらい真剣な、梨花の姿に―…。




「…あたしっ、ずっと爽のことが好きだったんだ。」



梨花には本当に、私の姿が見えていなかったらしい。



< 210 / 437 >

この作品をシェア

pagetop