だからこそ、キミは。
涙が零れそうなぐらい、瞳を潤ませて。
かすれる声を、必死に紡いで。
崩れ落ちてしまいそうなぐらい、一生懸命自分の気持ちを伝えている。
「……。」
「あたしと、付き合ってくれませんか…?」
――“恋に、誰が悪いとか存在しない”。
改めて、先ほどの先生の言葉が耳にかすみ、その言葉の意味を実感した気がした。
「……っ。」
目をギュッと閉じて、震えながらお辞儀をして右手を差し出す梨花は、一体何を考えているんだろう。