だからこそ、キミは。
梨花のこの恋の結末は、私も、爽くんも、…梨花自身も。
最初からここにいる全員が、わかりきっていたのかもしれない。
「……。」
爽くんが梨花の茶色い髪の毛を困ったように見つめながら、顔をあげてと小さく促す。
爽くんの瞳は私に告白してきた時よりも何倍も、小刻みに揺れていた。
『……。』
梨花が促された通りに、ゆっくりと顔をあげ。
その一つ一つの梨花の動作を、全て見逃さないかのように爽くんがジッと見つめる。
なんだか、私以外の二人の空間だけが、スローモーションのように浮いて見えた。