だからこそ、キミは。
―…強がってるんでしょ?
私の前だからって、無理やり涙を止めて。
わざと睨んだかのように、私に背を向けて。
私を避けるかのように敵対心する姿も、思わず漏れてしまった震える肩も。
梨花は意地っ張りなぐらい、自分に素直なんだ。
「…俺、教室戻るね。」
先に口を開いたのは、爽くんの方だった。
それに真っ先に反応したのはやっぱり梨花で、強いフリをしてたけど、茶色い瞳が揺れたのを私は見逃さない。