だからこそ、キミは。
顔、上げればいいじゃん。
いつもみたいに、側にいてほしいなら、爽くんに自分が思ったことを言えばいいじゃん。
「……。」
でも、それができずに黙って爽くんの後ろ姿を梨花が見つめているのは、本当に爽くんが好きだから。
振られてしまったのに、まだ愛しそうに爽くんを見る姿も、
爽くんの背中が遠くなるにつれ、泣きそうなぐらい瞳を揺らす姿も、
そんな梨花の姿を私が可愛いと思ったのも、本当に梨花が爽くんを好きだからなんだろう。