だからこそ、キミは。



梨花は、本当は誰よりも弱いことを知った。


実際の梨花は、強いのではなく、ただの強がりで。

誰よりも爽くんに真っ直ぐな、不器用な人。



「…わかったようなフリしないで。」



そんな梨花は、まだ強がっていたいらしい。



しっかりと私の腕を掴み、私のワイシャツを濡らしてるくせに。

決して私の言葉に賛同しようとしないのが、梨花らしい。



『…別にしてないよ。本当にわからないし。』



だから、そんな梨花に、私も意地悪を言ってやった。


だって本当に、梨花の気持ちなんて知らない。

そんなの、本人にしかわかるわけがないんだから。



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