だからこそ、キミは。
足跡の上を踏んで
ガチャリ、と。
軽やかな扉を開けた先には、居場所をなくした私に先生が与えてくれた、新しい居場所。
「…また来たのか。」
そうやって、こっちに視線さえも向けずに、溜め息混じりで喋る先生は、どこか呆れているみたい。
『うん、だってここ、エアコン効いてるし。』
私はそう適当な理由を口走って、先生が座ってないもう一方の椅子に座った。
…先生が右で、私は左。
いつからか、言葉のない約束になっている。