だからこそ、キミは。
さり気なく、さり気なく。
いつの間にか立ち上がっていた先生に、後ろの上から顔を覗き込まれて。
ふいに見上げた先には、先生の笑顔。
ごく自然に、私の髪をクシャリと触れた。
「大丈夫だよ。」
『……っ。』
「美優は、心配しなくても。」
心臓が、すっごくドキドキいってる。
神経が集中してるのは全て、少しだけ先生の体温と重なる肩の方。
先生の声が聞こえる耳が、固まったように動かない。