だからこそ、キミは。
クラスメートは、みんな寝ているか、ボーっとしているか、既に教科書に集中しているか。
私は教科書に集中しているフリをしながら、先生の声は耳に入っていない。
近くにいる先生だけに、神経を全部飛ばしている。
「そのClは…。」
先生がちょうど、斜め前に行った時だった。
―…ポン、と。
大きな手のひらが、私の髪をなだらかに跳ねた。
慌てて先生を見ると、先生は何事もなかったように教科書を読んでいる。