だからこそ、キミは。
「ちょっとだけ、時間良い?」
久しぶりだね。
佑くんと1対1で向き合うなんて。
確か、あの日以来だ。
『……うん。』
そんな真剣な表情をされたら、首を縦に振るしかないじゃない。
なんとなく佑くんの顔を真正面から見る勇気がない私は、下を向いたまま、小さく頷く。
周りの声がどこか遠くで聞こえ、この世界に2人しかいないような気がした。
「……。」
時計の音さえ聞こえないような、小さな沈黙。
まだ下を向いているから、佑くんがどんな顔をしてるのかわからない。