だからこそ、キミは。
「……ん?」
先生が時間差で、聞こえていなかったかのように言葉を発した時。
先生ははぐらかすつもりなのだと、瞬時に理解した。
それならば、と。私はさっきよりも強い声で言葉を紡いでいく。
『…だからっ!先生、他の学校に移動するの?』
「……。」
『……っ』
なんで、黙っちゃうのよ。
移動しないならしないと、言えばいいじゃない。
「…美優、落ち着け。」
ふいに私の頬に涙が伝ったのを、先生が見つけて。
ごまかすかのように、私を抱きしめる。