だからこそ、キミは。
遠く離れてしまう前に
―…ビュゥゥッ、と。
流れていく飛行機雲だけを、ただ黙々と見つめていた。
広がるのは、青い空。
突き刺さるのは、太陽の光。
今日で先生は、この学校からいなくなってしまう。
「これから、第〇〇回、離任式を始めます。」
下の方から、教頭先生の固苦しいアナウンスが聞こえる。
今頃、講堂に並ばされた生徒たちは、教頭先生に合わせて、お辞儀でもしているのだろうか。
―…そんなの、嫌。
私は離任式なんかに出ない。
先生が出て行く所なんて、見たくない。