だからこそ、キミは。
恋をする楽しさや辛さを、知った。
誰かに本気に立ち向かうことの、難しさを知った。
私、苦しかったけど、先生に会ったことを後悔していないんです。
―…先生。
私と出逢ってくれて、ありがとう。
『…行ってくるね。』
もうそろそろ、離任式が終わってるころだろうか。
爽くんとのお喋りに集中していた私には、アナウンスなど耳に入っていない。
「頑張れ!」
爽くんの声が、背中越しに耳に入る。