だからこそ、キミは。
先生の姿は、やっぱりいつもと変わらなかった。
ワンサイズ大きいであろう白衣を、だぼっと着こなして。
胸元の先ほどつけていたコサージュは、胸ではなく机の上に乱暴に置かれていて。
さっきよりもルーズに乱された髪や黒縁メガネが、やる気のなさをか持ち出していたけど。
そんな気だるい先生だからこそ、私は大好きだと思ったの。
「美優…?」
しっかりと、私の姿を捉えた先生の瞳は。
私の姿を確認するかのように立ち上がり、ゆっくりと、私に近づいてくる。