だからこそ、キミは。



先生の輪郭をなぞるように、自分の指先を彼の頬に添えた。


震える指をごまかすように、先生の顔を見たら、今までは知らなかった黒子が右目の下にあって。

それをまた、なぞるように触れてみたの。



『……っ。』



結婚をする人に、こんなことをするのは、本当は間違ってるのかもしれないね。



私は何もないけど、先生には守るべきものがある。

だけど、それがどれくらいの重みを持ってるのか、子供の私にはわからない。



だからのこその、行動だったの。



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