だからこそ、キミは。



そっ、と。


自分の唇を、先生の唇に、かすれる程度に押し付けた。



ぶわっと広がる、温かい温度。

薄く見えて柔らかい先生の唇は、私の唇に吸い尽くように、小さなリップ音を立てる。




「……っ。」



初めて、先生とキスをした。



なんなんだろうね。一度唇を合わせたら、諦めるはずだったのに。



泣きたくなるぐらい、余計な愛しさが込み上げてくるなんて。



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