だからこそ、キミは。



先生の唇を合わせた後の自分の唇を、優しく甘噛みした。


まだ微かに感じる、彼の温もり。

彼の、余韻。



鼻の先がツンとして、なんだか涙が出てきそうだったけど。

歯を噛みしめて、必死にこらえる。



「み、ゆう…?」




徐々に離れる顔と共に、瞑っていたはずの目を開いた先生。


先生の顔が見れなくて目をそらし、頬に添えていた手を離そうとしたら。

その手首ごと、少し強めに掴まれた。




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