だからこそ、キミは。



目を閉じるたびに、思い出せる。

…あの日あなたが、私に言ってくれた言葉。




“美優が、大好きだよ”




あのキスのあと、あなたはそう言って、寂しそうに笑って。



“でも、守らなきゃいけないものがあるんだ”




私の目を切なげに見つめながら、最後にこう呟いたんだ。




「理恵ー。」




―…体がビクンと、大きく跳ねたような気がした。


無意識に探していた、愛しい低い声。

求めていた、音。




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