だからこそ、キミは。



…先生。この時の私の心は、矛盾してました。



本当は、誰かに聞いてもらいたくて、仕方なくて。


本当は、自分の感情を押し殺すのは、自分を守るためであっても我慢の限界で。



本当は、先生の言葉は嬉しかった。




“忘れられるわけねぇじゃん”



忘れないから。
大丈夫だから。


自分の心の内を出してもいいんだよって、言ってくれてるみたいで。



震えるみたいに、なんとも言えない感情が心を占領するの。




―…だけど、私はまだ、強がっていたいみたいです。




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