だからこそ、キミは。
「ふーん…。」
先生が椅子に腰掛けながら、指先を弄ぶ。
先生の声色は、今にも崩れてしまいそうな危ういバランスで保たれているものだった。
「別に、俺は止めないよ。」
『……。』
「作りものでいたかったら、作りものでいればいい。」
先生。
私、先生が冷たい人なのか、優しい人なのか、今でもわからないんです。
「上園の人生だもん。俺には関係ない。
……な。上園?」
少なからずそれは、何かが崩れる音だった。