だからこそ、キミは。



―…あの日、みたいだと思った。


雨が降っていて。
突き刺さるような大雨で。



佑くんに振られてしまった、あの日。



あの日もこんな風に、最初は晴れていたんだっけ。




『……っ。』




胸が、苦しくなる。


ふと蘇った佑くんとの思い出に、顔を歪めずにはいられない。



月日は確実に進んで、心も進んでいるはずなのに。

なんで雨を見るたびに、あの日のことを思い出すんだろう。

なんで、雨を見るたびに、胸が引きちぎられるの?




―…そんな、胸の痛さを振り切りたくて。

雨なんか、みたくなくて。



雨に飛び込んで、教室に戻ろうとした、その時だった。




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