君に裁きの鉄槌を
氷「椎名の奴…何やってんだ?」
澤「…今…優子って…」
氷「どうした?吉澤」
澤「え!?いや、なんでも…ない…」
花恋は二人の様子を玲衣と一緒に遠巻きに見つめていた。
だが、ひとつだけ心に突っかかるものがある。
それには見えないフリをして花恋はまたぼーっと見つめていた。
優「く、くすぐったい…」
『我慢我慢。少し口開けて…』
優「…ッ」
『できた…!』
優子に目を開けてもらうと、僕の想像通りの顔になっていた。
いつのまにか周りにいたクラスの奴等は歓声をあげる。
男「すげーな椎名!」
『そうかな?君もメイクしたら映えるんじゃない?』
男「ばっ…俺は男だ!」
『いや…良い素材だよ…?』
顎に手をおき見つめる。
男はだんだん赤くなっていった。
『なーんてねッ☆』
男「ばっ…かおま…ッ!」
ウインクしてメイク道具を片し席に戻る。
ざわざわする教室。
元通りの騒がしさになったことに安心し、僕は席で目を伏せた。
.