君に裁きの鉄槌を
車の窓から外を覗く。
何ヶ月か前は嫌いだったこの風景が、今はとても美しく見えた。
『…麗華に電話しなくちゃ』
学校に近づくにつれて、笑いが止まらなくなった私。
そこで一人の人のポスターを見たときに、私は彼女の存在を思い出した。
?《はい、こちら棚秦麗華のマネージャーの高崎です》
『あ、高崎さん?私です。由姫菜です。
高崎さん、私これから椎名岬って名前で電話かけるのでよろしく。』
高「あ、由姫菜ちゃん?
わかりました。椎名 岬さんもリストに入れときますね。
麗華さん呼ぶのでしばしお待ちを」
棚秦 麗華(タナバタ レイカ)。
今最も売れているモデルだ。
人間離れした美しさ、それにオッドアイでタトゥーを入れているからか、珍しいというような感じでも人の目を引いている。
麗華は人付き合いが苦手。愛想もあまりよくない。でも、カメラの前では楽しそうにくるくるとかわる表情を見て、私はすぐに惹かれた。可愛い。それだけ仕事に本気なんてすごい。そんな尊敬の意も混ざってたと思う。
私と仲良くなったきっかけは、彼女が脚光を浴び始めたCMのメイクを私がしたコト。
お互いの力を認め、信じ。そして専属のヘアメイク、衣装アシスタントになった。
…それだけではないけれど。
麗《…もしもし》
『麗華?私。由姫菜。
これから電話をかけるときは男で、椎名岬だからよろしくね。』
麗《これから、始まるんでしょう?》
『ああ。楽しみで笑いが止まらないんだ』
麗《…っ由姫菜…、無理は、しないでね…っ》
麗華は優しい。
本当は、復讐なんてしてほしくないんだ。
でも、私は。
『ありがとう』
"ごめんね"
復讐に懺悔なんていらないから。
君への気持ちは永遠に胸の中に
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