君に裁きの鉄槌を
向こうに完璧な攻め役者がいるのなら、俺たちも攻めて守りを崩せば良い。
奴等にボールを回さなければいいんだ。
伊達に此処のレギュラーをやってきた訳じゃない。
努力もなしに続けている訳じゃない。
なのに
守りは、崩せなかった。
俺たちの一歩手前に壁をたてる。
四方八方に壁が立てられるから、逃げ場がない。
そしてボールが奪われる。
そんな、繰り返し。
俺たちの一歩手前を行く。
そう、まるで俺たちの考えを読んでいるかのように動くんだ。
何故?
考えても考えても答えにはたどり着けず、
準レギュラーの点と、自分達の疲労が増していくばかり。
そして、その答えにやっとたどり着いたときには…
試合終了のコールが鳴っていた。
岬の言葉が頭の中に響く。
"一度でも下の人間の努力を見たことがありますか?"
そうだ、俺たちは…
いや、俺は見たことがない。
いつも前ばかり見ていて、後ろについてきてるやつの身なりも顔も見たことはない。
いや、見ようとさえ思わなかった。
.