君に裁きの鉄槌を
07_傍観者
岬は学校に向かう途中の車の中で電話をしていた。
『おはよう麗華。昨日はよく眠れた?』
《…おはよう、ゆ…みさき…。
全然眠れないわ…。ようやくドラマの撮影終わったのに…》
『クスクス、昨日くまが酷かったからねえ…。
メイクで隠すの大変だったんだよ?』
《はいはいすみませんね…》
『んで、麗華。
お疲れのとこ悪いんだけど、君に仕事を頼みたい。』
《テレビ?プライベート?》
『プライベート』
《…良いんだけど、午前は嫌よ?
私寝たい》
『分かってるって。
4時に、三城-ミキ-が迎えにいく。』
《…了解》
携帯を閉じて笑みを浮かべる。
そして、学校の門が見えたところで僕は三城さんに話しかけた。
『三城さん…?』
三「はい」
『今の僕、どんな風に見える?』
三「……とても、楽しそうに見えますよ。」
『クスクス、ありがとう。
僕ね…スッゴク楽しいよ、今…!!』
顔を片手で覆い、肩を震わせて笑う。
三城は、ミラー越しにその様子を見たあと、すぐに車道に目を写した。
三「着きました。岬さま。」
三城が車を止め、出る。
そして僕の座っている側の扉を開けた。
『ありがとう』
風が頬を撫でる。
岬は、ニヒルな笑みを浮かべて歩き出した。
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