君に裁きの鉄槌を
目をつぶっているため、目の前の奴の行動が見えない。
突然触れられたので、岬はつい声を出してしまった。
頬に触れた手は強ばり、だが頬にまだ触れている。
こいつは、誰だ
何がしたい
混乱して、どうしようかと悩む。
だが、そのとき。
何かが唇に触れた。
柔らかいもの
そして…温かい。
もしかして…
…キス??
一つの結論にたどり着いた瞬間に、岬は目を見開いた。
そして、上に乗っている人を突き放す。
口に手をあて体を起こし、壁に寄りかかる。
『な…な…!!』
岬は取り乱して、岬になることを忘れていた。
そう、今の岬はただの由姫菜。
由姫菜になってしまっている。
そして由姫菜は自分が突き放した人間を見て、驚愕に顔をひきつらせた。
『れ…玲衣…??』
氷「…由姫…菜…??」
.