君に裁きの鉄槌を
玲衣の放った言葉を聞いた瞬間に由姫菜、基岬はハッと我に返る。
己の失態に気付き、目を閉じて急いで由姫菜を引っ込めた。
『………クスッ…氷狩君…何をしているの?』
氷「今…お前…」
『質問しているのは僕だ。
答えてよ』
岬は震えている自分自身を必死に抑えて虚勢を張る。悟られてはいけない、悟られては。
言い聞かせることで体の震えを引っ込めていた。
玲衣は一度俯き起き上がる。
そして、岬に近寄り顔の横に手をついた。
『……ッ!!』
氷「お前は…時々違う人間になる。
お前は椎名岬、男だろう?
なのに…俺の知っている人間のような態度になる。
それに…」
壁についていた手は頬を伝い首筋に落ちていく
氷「男にしては、体格が違いすぎる」
岬は玲衣から一度も視線をはずさない。
きっと、今このタイミングで外せば、それは肯定したことになるからだ。
そして玲衣はまた言葉をつむいだ
氷「…前から気になっていた。
お前は誰だ?
"椎名 岬"
それは本当にお前か?」
『ぼ、僕は…』
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