君に裁きの鉄槌を





『吉澤さん吉澤さん』

吉「な、なに?」

『僕、サッカー部の部長に会いたいんだけど…案内してくれるかな?』

吉「わかった。ついてきて?」






花恋に笑いかけると、顔を逸らして席から立ち上がる。
どうしたんだろう…もうフラグがたったのかな?





僕は廊下で問いかけることにした。






『……吉澤さん。僕…何か悪いコトしたかな?』

吉「え…?」

『さっきから、僕の顔見ないし…話しかけても顔逸らすし…僕何かした?』

吉「えっ…違うの…。気を悪くしたならごめんなさい…


 私の…知り合いに似ていて」

『僕が?知り合いに?』

吉「知り合いっていうか…昔の親友?

 女なのに…椎名君に似てるなって…

 あはは。おかしいよね。
 女、なのに…。私…が…」

『吉澤、さん?』

吉「私が悪かったの…。
 私が裏切って…彼女を追い出したようなものなの…

 貴方を見てると、思い出す。
 だから…、つい」

『吉澤さんにとっては嫌な思い出なんだね。

 ごめんね、嫌なことを思い出させてしまって』









頭を撫でると、花恋は顔を赤くしてうつむく。


そして教室に案内をしてくれた。








吉「こっちが部長の秋本君。
 もう三年は引退したんだ」

『そうなんだ。
 はじめまして。椎名岬って言います。
 サッカー部入部志望なのでよろしくお願いします』

秋「てめえ…男か?」

『?男ですよ?
 ああ、僕はつい先日までイギリスに住んでまして。
 部屋の中にこもっていたので痩せ形なんです』

秋「ふーん」






秋本は大して興味なさそうに教室に戻っていった。






その憎い面…











『…恐怖に歪ませてやるよ』

吉「?
 何か言った?」

『なんでもないよ。
 教室に戻ろうか』










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