電車が来るまで
電車が来るまで
雨が上がったばかりで、
生乾きのベンチに2人で並んで座った。
あと少しだけ。
電車が来るまで。
その時間は、これからの時間を
埋めるには短すぎるんだ。
「ずっとさ、
一緒にいるものだと思ってたよ」
どこか遠くを見つめながら、彼が言った。
電車が来るまで本当にもう時間が無い。
「電話するとか手紙書くとか
メール送るとかさ、
どうせその内途絶えるんだよね」
小さく、電車の走る音が聞こえてきた。
雲が消えて、太陽が見えてきた。
午後は暖かくなりそうだ。