人間姫
「そうだリザ、あしたうみにいってにんぎょをさがしましょうよ」
少女……ニーナが瞳をらんらんと輝かせて教育係……リザに言う。
しかしリザは首を横に振った。
「いけません。怪我でもなさったらどうするのですか?それに人魚などこの世にいませんよ」
納得しないリザの返答に、ニーナはピンクの頬を膨らませた。
「まったくリザはいけませんばかりね!ならわたしひとりでいくから」
「いけません。クラゲに刺されたりでもしたらどうするのですか」
「ならわたしをうみにつれていって。うみくらいなんてことないでしょう?」
ニーナは幼いわりに頭の回転が早かった。
今回はニーナの勝ちのようだ。
「……わかりました。そのかわり今日は早くお休みなさい」
リザはやれやれとため息をついた。
これからどう王を説得しようか考えなければいけない。
王はたいへんな心配症なのだ。