辻斬り
わけもなく出会ったものをまるで「仇」のように見据え、次々と殺していく…かと思えば、殺すことに喜びを見出したかのようにキャッキャとはしゃぐ。

はーはー……と立てる吐息の荒々しさがおぞましい。

「みんな、殺さなきゃ殺される……俺がみんなを救わなきゃ、鬼の恐怖から――」

口でするすると騙る、いわば嘲笑られた正義感とは裏腹な、脆弱におびえる目で周囲を見回し、再び消えていく。
錯乱と迷走の様に、赤田は翻弄されていた。

銃声がまた、森に響いた。
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