辻斬り
誰かいるなら出てくれば良いのに、俺は命さえ助かれば良いんだ。
繰り返される自問自答、赤田が霧の中から現れる恐怖におびえながら、命からがらに逃げ出した安堵にも少しぐらい身を預けたかった。
でもこの安堵を奪うような連中が現れたなら……

手はすっかり自らの血の赤で染まり、それは乾いてこげ茶色になっていた。
人のそれとは違うものになったんだ、と言う、これは暗示。
< 123 / 245 >

この作品をシェア

pagetop