辻斬り
一行が向かう理由も、概ねそんなところだった。

「運転手さ~ん、まだ着かないの?」

運転手の鴻上は「まだです」という口調は平静を保っているが、正直この道中で客の有様にうんざりしていた。

口の利き方も知らない小娘たちに、怒鳴り声ばかりがうるさいおっさん。
何考えているか分からず黙々と資料に目を通すキモオタ男。

仕事でなく、単なるヒッチハイクでこんな連中うっかり乗せていたら、今すぐこの山道に放り捨てたくなる気分だった。
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