辻斬り
「ここいらは昔から深い霧に覆われることで有名で、朝になっても霧が晴れないことから…「万年霧」なんていわれてるくらいでな。村を出るにゃあ、それ相応の覚悟がいったわけだよ。廃村になるまでは、ま、完全に外界と遮断されていたっていっても過言じゃなかったしな」
「おかげで目に見えるみんなの顔も真っ白け、鈴木その子状態よ。あ――――! このまま霧に飲み込まれてうやむやになってしまいたい!」
「……うやむやにしたいのは元彼との思い出でしょ?」
「――えみ、なんか言った?」
えみは慌てて口をつぐんだ。

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